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初めておいでになった方は、「はじめに」を読んでください。


by umepochisky
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毛皮は是か非か2

自分が言いたかったことを、もう一度まとめてみます。


まず、ファッションのためだけに毛皮を利用するのはよろしくない、と問題提起することは良いことです。
あらゆる事象に疑問を投げかけ、それを社会に問いかけていくのは必要で大切なことです。
問題なのは、そのやり方です。
暴力的な弾圧であってはいけないと私は思っています。
暴力は、誰かが異を唱えることを遮断し、最も力が強い一部の人間の意思だけがまかり通るような事態を招くからです。
あらゆる事象は良い面と悪い面が表裏一体になっていて、一側面だけを捉えて判断することは危険です。
ですから、弾圧ではない方法で問題を訴え、それについて個々が考え、または人と話し合い、選択・判断していくべきです。
全ての活動家が暴力的だとは言いません。しかし、ヒステリックに自分の思想を振りかざし、自分の意に添わない人々や考え方を非難し排除してしまおうとする過激派も、やはり存在します。動物愛護の場でも、そういう事態はあります。
自分の考えが正しいのだと信じることは良いことですが、エスカレートすると暴力になってしまうことを理解していないと問題は大きいと思います。
ちょっと問題は変わりますが、連想したことを一つ。
捕鯨問題です。
肉食の欧米人は、クジラを捕獲して食べるのは野蛮だ。クジラじゃなくたって、他の物を食べればいいじゃないかと日本人を責め立てます。
もちろん、乱獲はいけません。大切な海洋資源であり、生き物です。
ですが私は、養殖ができないなら、調査をして、生態系に大きな影響を与えないよう配慮しながら捕鯨をするのはいいのではないかと思います。
クジラがなくても別に困りません。
他にも肉はあります。
でもクジラを食べるのも日本の文化です。
食べないという選択肢もあるし、ありがたく味わうという選択肢もあります。
「僕らはクジラを食わないから、日本人もクジラを食うな」と
強制することが暴力的だと感じるのは、私だけでしょうか?

皮革製品は、目につきやすい物だからやり玉にあげられやすいですが、自分が直接手にかけていない、目の前で殺戮が行われていないというだけで、私たちの生活の全ては他者の犠牲の上に成り立っています。
ケミカルは、動物実験を通さないと人間での臨床実験ができません。
SEAさんの言う、”なるべく”というのがどの程度の数かは解りませんが、
少ない数であれば、自分のためになるのだから良いのだというエゴと、
ファッションで毛皮を着るエゴと、
私には同質のように思えて、そこに大きな矛盾を感じます。
これは自分のためになるからいいけど、あれは自分にはなくてもいいから他の人も利用しちゃダメだという理屈が、どうにも私には納得できないんです。

私は決して、毛皮をみんなで着ましょうと言っているのではありません。

でも、私には10年以上履いている革靴が3足あります。
良い革製品は、足に馴染んで歩きやすく、足も痛まないし、修理をしながら一生使うことができます。
合成素材の靴は、足が痛むし馴染まないし、何よりすぐ破れてしまって長持ちしません。
だから私は、それが動物の皮を剥いだ物だと知っていながら、革靴を愛用しています。
靴だって本革じゃいけない筋合いはありません。
ちょっと前までは、みんな下駄か草履だったんですから、それだっていいはずです。
いまどき下駄はかっこ悪いですか?
かっこ悪いから靴を履くなら、それもファッションですよね?
ファッションで革靴を履くなんて悪いことだ、と言われたら、困りましたね。
私は、短い周期で合成素材靴を大量消費し、いつも足に痛みを感じていなくてはいけません。

一方、生活の一切から動物的なものを排除する道を選択して、行動に移している人もいます。
尊敬に値します。なかなかできることではありません。
ですが、それを全ての人に強制することはできません。
私は、革靴を大切に大切に、もう絶対履くのは不可能と思えるまで、使いたいと思っています。それが、革靴を選択した私の義務です。その靴のために犠牲になった牛に報いるために。

ついでに、私の革ジャンは、今年4回目の秋を迎えました。
ナイロンの裏地は既に破れてボロボロです。変色もあります。
でも表の革は、買った時のように穴も擦れもなく、かつ私の体に合わせて伸び、
しっくり私を包んでくれます。
私はこれが手放せません。毎年、春と秋はいつもこの革ジャンです。
私にこの革ジャンや革靴を使うなと強制する人がいたら、
とても悲しいです。
by umepochisky | 2005-09-28 18:36 | ニュース・社会問題